東京バレエ団 ニューイヤー・ガラ |
<第1部>
バランシン振付 「テーマとヴァリエーション」
(チャイコフスキー:管弦楽のための組曲第3番 より第4楽章)
・渡辺理恵 ・木村和夫 、他
<第2部>
ノイマイヤー振付 「スプリング・アンド・フォール」
(ドヴォルザーク:セレナーデ ホ長調)
・小出領子 ・後藤晴雄 、他
<第3部>
ベジャール振付 「ボレロ」
(ラヴェル:ボレロ)
・上野水香、他
今回の最初の演目、バランシン振付「テーマとヴァリエーション」で、エトワールを踊るはずだったベテランの吉岡美佳さんが怪我との事で、渡辺理恵さんにキャスト変更されました。
渡辺さんといえば、福岡出身で、この公演のプレ・イベントにて、梅澤紘貴さんと共にトークを行ってくれておりました。今回の演目は、3人の振付家による20世紀に作られた3作品。
私は、最前列のほぼ真ん中の席にて。バレエはどうしても、前で観たいのです。全体の構成は見にくいけれど、表情をよく見たいのと、近くで感じる圧倒的な迫力と臨場感が好きなので。今日の客席は満席。
東京バレエ団のガラ公演は、2009年にも行きましたが(福岡サンパレス)、その時と「ボレロ」だけ同じ演目。4年前も同じく上野水香さんがメロディでした。しかしその時と同じシリーズの公演なのに、S席の値段が、今回は5千円も安い!この違いは何だろう?サンパレスでも音楽は録音だったのに...。
さて、まず「テーマとヴァリエーション」で、代役で主役を踊られた渡辺さん、何と可憐でフレッシュな美しさでしょう!顔が小さくて手足や体がとっっても細くて綺麗なので、チュチュもすごく似合っています。テクニックはもちろん、その姿勢やたたずまい、笑顔も素敵で、気品ただよう踊りを披露してくれました。彼女の表情と踊りを観ていると、何だかジーンと感動がこみ上げてきました。パンシェなどの形とか、とても綺麗で、腕の使い方も繊細で美しかった。
それと、女性はみなトウ・シューズなのに音が静かで、本当に体が引き上げられているのもさすがです。全体に華やかで可愛らしくて楽しい舞台でした。
次の、ノイマイヤー振付の「スプリング・アンド・フォール」。今回の演目の中では、一番新しい作品で、初演が1991年(ハンブルク)。東京バレエ団でも2000年が初演。私も初めて観る作品でした。
主役の後藤晴雄さんと小出領子さんは、長く東京バレエ団で活躍されていますが、この作品では、とても新鮮な表現が感じられました。モダン・ダンスのテクニック満載で、特に男性のダンサーにとっては、振付も非常にハードなものだったと思いますが、ストイックに鍛え上げられた肉体が、沢山の汗と共に光っていました。
梅澤さんも素晴らしくて、今回3演目全てに出演されましたが、彼はクラシック作品よりも、このようなモダン作品の方が、より素敵だなと感じました。
そして、ベジャール振付「ボレロ」。ラヴェルのバレエ音楽に、何と魅力的な振付なのだろう!と、いつ観ても思います。
主役、メロディを踊った上野水香さん、4年前よりも今回の方がまた一段と表現に深みを増して、そのオーラを醸し出していたように思います。確かなテクニックと高い柔軟性に、長い手足の魅力が存分に発揮される、この役を踊るカリスマ性を兼ね備えたとても素敵なダンサー。また彼女の ”足の甲”が素晴らしく。。常にプリエを繰り返しながら柔らかくリズムを刻みつつ、円卓の上で表現されるメロディの力強い踊り、素晴らしかった!
高いコンテンポラリーダンスの技術も必要とされる、ベジャール版「ボレロ」のメロディの役は、別格の才能を持ったダンサーだけが踊ることを許されます。後藤晴雄さんと高岸直樹さんも踊っているけれど、日本人の女性では、今のところ上野水香さんだけなのかな。
それから曲の途中、ピッコロが禁則の平行五度での旋律が出てくる不思議なハーモニーのところで、円卓の周りの椅子に座っていたリズム(男性ダンサー)の中の2人が、まず立ち上がり踊りだしますが、その1人が梅澤さん。彼はこの振付でもキレがあって、カッコよかったです。30人ほどのリズム全体もすごく揃っていて、クライマックスに向かい盛り立ててくれました。
やっぱりバレエはいいな!どの演目も純粋に楽しくて、充実の舞台でした。