福岡古楽音楽祭 ロ短調ミサ曲 |
第13回 福岡古楽音楽祭 オープニングコンサート
「J.S.バッハ ロ短調ミサ曲(BWV 232)全曲演奏会」
指揮:モールテン・シュルト・イェンセン
ソプラノ:トリーネ・ヴィルスベルク・ルント、星川美保子
カウンターテノール:ヨゼメ・アジェイ
テノール:谷口洋介
バス:浦野智行
福岡祝祭管弦楽団
コンサートマスター:寺神戸亮
第1ヴァイオリン:大内山薫、天野寿彦
第2ヴァイオリン:佐藤泉、廣海史帆、木村理恵
ヴィオラ:森田芳子、深沢美奈
チェロ:武澤秀平、縣田貴嗣
コントラバス:諸岡典経
フルート:有田正広、前田りり子
オーボエ/オーボエ・ダモーレ:三宮正満、尾崎温子、篠原由佳
ファゴット:堂阪清高、永谷陽子
トランペット:神代修、霧生貴之、横田健徳
ホルン:大野雄太
ティンパニ:井出上達
オルガン:安積道也
アーチ・リュート:佐野健二
福岡祝祭合唱団
ソプラノⅠ7名、ソプラノⅡ7名、アルト13名、テノール7名、バス8名
合唱指導:安積道也
古楽にてバッハのロ短調ミサ曲が全曲聴けるというので行ってきました。キリエ、グロリア、ニケヤ信経、サンクトゥス、オザンナ、ベネディクトゥス、アニュス・デイおよび、ドナ・ノビス・バーチェムから成りラテン語で歌われるミサ曲。ルター派のプロテスタントであるバッハが色々な経緯により作った謎の多いとされる作品ですが、バッハ生前にこの曲が全曲を通して演奏されることは一度もなかったとのこと。この曲はカトリックとプロテスタント両方の要素を持っており、当時どちらかの教会で演奏することは不可能だったためだと考えられています(現在では、聖トーマス教会などでも演奏されています)。対訳を読むと、特に両者の垣根は感じられず、音楽と共に厳かな感動が伝わります。
さて、この曲を生で聴くのは初めてで、古楽器での演奏が楽しみでした。この音楽祭は全席自由席で、私は前から7列目で木管楽器がちょうど前に見える席に座りました。シンフォニーホールも、この時は古楽仕様というのか、いつもの舞台は仕切り壁で仕切られ、通常の前列何列かのところに舞台が来ていました。一階はほぼ満席。
古楽の歌唱法での、とても美しいハーモニーが真っ直ぐに伝わってきました。合唱とても良かったです。ソロの方々もそれぞれ素晴らしかったと思います。楽器の演奏で印象に残ったのは、オーボエやフルート。ちょうど木管の目の前だったこともありますが、本当に素晴らしい演奏でその柔らかい音色が心地よかったです。オーボエ・ソロの方は、現在バッハ・コレギウム・ジャパンの主席オーボエ奏者でもいらっしゃいます。あとフルートも綺麗でした。やはりこの時代のオリジナル楽器は、本当の木製なので、デリケートではあるのだと思いますが、バロック時代の音楽を聴くのにはこのような柔らかい音色が良いです。弦楽器も全般に良かったと思います。あとナチュラルホルンは、非常に音程のコントロールが難しい楽器なんだなと感じました。全体に、みなが古楽での演奏を大切に思い、音楽に込められた情熱と、純粋にこの作品の素晴らしさが伝わってきました。(演奏は古楽ピッチ)
最初のアナウンスで、集中力を保つため拍手は最後の曲が終わった時だけにお願いしますとの事で、全ての演奏が終わってから、心からの拍手。最後にはアンコールに、終曲の合唱(われらに平安を与えたまえ)を。演奏をして下さった皆様、ありがとうございました。
無料のプログラムの内容も興味深く、大昔からの音楽の発展を垣間見る事ができます。
最初に音階が出来た経緯(オクターブを12に分けた事。12は2と3と4と6で割ることが出来る。また3等分できる)で、ピタゴラスの実験により、分割比が単純な音同士が、人間の耳にはよく調和するという重要な法則を発見したという話や、旋法、記譜法について、また音律についての話も。純正律、ピタゴラス音律、ミーントーン、ベルクマイスター、キルンベルガー、そして平均律。どれも完璧なものは無いけれど、徹底的に妥協されたのが平均律。
今年のテーマは「声楽」です。来年のテーマは「鍵盤楽器」。そういえば以前行ったライプツィヒの楽器博物館で、下のような面白い鍵盤楽器に目が留まりました。演奏困難と思われる為、あまり実用化されなかったようですが、音律の問題を克服しようと試行錯誤している途中で製作されたものでしょうか?来年の音楽祭では、チェンバロ、オルガン、フォルテピアノの演奏があるそうで、また楽しみです。
演奏そのものも水準が高くて聴きごたえがありそうですし、プログラムの内容も充実していたんですね。
ホルンって現代の楽器でも難しいと思います。
だからよけい聴くおもしろさがるのですが。
来年のテーマは鍵盤楽器ですか、klavierさん、また楽しみですね。
この音楽祭は、毎年のテーマがしっかりしており、その内容もさることながら、司会者さんの解説、プログラムの解説がとても充実してますよね。食わず嫌いをやめて、行ってみるべきだったなあ。と、反省(*v.v)。
はい、思っていたよりずっと良くて、このような音楽祭があってよかったです。やはり目の前で聴く生演奏は新鮮な感動がありますね。今年は古楽を楽しむスタートにもなったように思います。
録音では、モダン楽器でも古楽器でもいくつか同曲を聴きましたが、やはりヘンゲルブロック氏指揮のCDが最高に良くて、これからずっと私の愛聴盤になります♪
ホルンって、やはりすごく難しい楽器なのですね。
そして、そうですね、klavierとしては来年の企画では、もっと色々なコンサートやセミナーなども行っていたいと思います。galahadさんのところでも古楽の事色々と教えて頂きたいです。ありがとうございます♪
Kurobaさんは、去年行かれたのですね!私も今までは、古楽って何だか難しいイメージがあったりで、足が向かなかったのですが、今年はバッハのこの曲に惹かれ、行ってみました。
それから私も、声楽の曲には全般的に疎くて、今日や明日行われているオペラのアリアや、歌曲など、ほとんど知らない曲ばかりなので、今回はオープニングコンサートだけです^^;
食わず嫌いってあるものですよね。でも思わぬ演奏会で、素晴らしい音楽や演奏家に出会ってしまったら、すごく嬉しいものですよね。
お互いに、そんな演奏にまた出会えると良いですね♪