第16回 ふくおか「萬斎の会」 |
今回の席から見た舞台
小舞「鮒」: 野村裕基
小舞「海人 玉之段」: 野村万作
狂言ファイル「魚と釣」: 野村萬斎
魚説法: 野村裕基・石田幸雄
素囃子「神楽」
蛸 吐墨: 野村萬斎・野村万作・岡聡史ほか
釣針 囃子入
:野村萬斎・深田博治・月崎晴夫・村井一之・内藤連・中村修一・岡聡史・高野和憲
今日は、夏季狂言の会へ行ってきました。今回は、野村万作さん、萬斎さん、そして萬斎さんの12歳になられるご長男の裕基さん、と 親子三代ご出演されました。
今回は萬斎さんが、上演に先立ち、各演目のあらすじや見どころなどを一通り説明して下さいました。プログラムに書かれてある各演目ごとの語句解説もざっとは見ておきますが、なかなか全部は覚えきれないし、説明が理解の助けになりました。今回は、海の幸にまつわる狂言を集められたそうです。
最初に登場した裕基さんは、まだ声変わりしていない高い少年の声ですが、よく通る発声で、とても初々しくしっかりと演じておられました。これからも頼もしいことだと思います。
次に登場された万作さんは、味わい深いお声と演技でさすがの貫録です。
また太鼓や小鼓、笛などの和楽器の響きも心地良く感じました。
それから、狂言の「蛸 吐墨」(たこ とぼく)。タコを頭に乗せたようないでたちで、ユーモラスな能面をつけた蛸の精に扮する萬斎さんの台詞と演技が面白くて!能楽ならではの蛸の精の出で立ち、そして、萬斎さんが考案したという新演出・墨吐きの表現は、とても盛り上がりました。
休憩後の最後の演目、狂言「釣針 囃子入り」は、独り身の主人が妻を得ようと、太郎冠者を伴い参詣したところで、つり針で妻を釣るように夢のお告げを受け、太郎冠者が「釣ろうよ、釣ろうよ」とかけ声をかけながら主人の妻に続いて、数人の腰元、さらには自分の妻までも釣り上げることになり......。その次から次に釣り上げる太郎冠者扮する萬斎さんと主とのやり取りが、本当に可笑しくて面白く。この演目も、萬斎さんが考案した演出(平成12年初演)だそうですが、内容も分かりやすくて、とても楽しい舞台でありました。
次は、来年1月5日(土)が「万作の会」になります。近所の能楽堂での年に2回の狂言観劇、恒例行事になりそうです。
夕方(開演前)と夜(終演後)の大濠公園。
終演後のロビーで、日仏学館の木曜のクラスで一緒だった方と偶然お会いしました。お正月の「万作の会」にも来られていたとか。また次回お会いしましょう。