ジョス・ファン・インマゼール/フォルテピアノ・リサイタル |
(福岡古楽音楽祭 二日目)
ハイドン:ピアノ・ソナタ ロ短調 Hob. XVI/32
モーツァルト:ロンド イ短調 K511
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第17番 ニ短調 K570
休憩 Intermission
モーツァルト:ファンタジー ハ短調 K475
クレメンティ:ピアノ・ソナタ ヘ短調 作品13-6
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ ト長調 作品14-2
今回は、古典時代の音楽家の作品ですが、前日のオープニング・コンサートに引き続き、私にとっては初めて、古楽器による古典時代の作品の演奏を聴くことになりました。
フォルテピアノは、現代のピアノの前身というような楽器で、その後細かい進化はありますが、まだハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンの初期の時代に使われていました。この日使われたフォルテピアノは、5オクターブなので、何と言っても音域がモダン・ピアノと最も違います。現代のピアノ(7オクターブ以上)と比べて、大きさも小さく、音量も小さく、繊細な楽器です。
インマゼール氏は、とても繊細なタッチと明確な音運びで、クリアな美しい音色を奏でられました。
今までモダン・ピアノでしか聴いた事が無かった、モーツァルトやベートーヴェンのピアノソナタも、やはりその時代のオリジナルの楽器で聴くと、なるほどこの楽器ありで、この曲調なのだなと思わされます。とても柔らかな優しい音色が、美しく心地良く響きました。
ベートーヴェンは、楽器が大きく発展した時代に生きていてたので、鍵盤楽器の音域などに特に注文を付けたそうですが、彼のピアノソナタ32曲も、初期、中期、後期の作品になるにつれ、音域も広がり、作風が変わってきているのは、人生経験に伴い作品の奥深さも増していったのはもちろんのこと、当時のピアノの音域や強弱の幅の発展につれ、その時々の楽器にインスピレーションを受けてのものが大きいのだなと、改めて思いました。
あいれふホール、小さなホールですが満席で、客席後方の方までも、綺麗にフォルテピアノの音色が響いていました。アンコールには、ベートーヴェン、ピアノソナタ「月光」より第一楽章を弾いて下さいました。
さて、福岡にも台風が近づいており、明日(17日)が最も接近するようですが、曽根麻矢子さんのチェンバロ・リサイタルなど、明日までの古楽音楽祭も無事に行われますように。