鈴木優人指揮/九大フィル定期/piano 阪田知樹氏 |
G.ロッシーニ / 歌劇「泥棒かささぎ」序曲
S. ラフマニノフ / ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op.18
A.ドヴォルザーク / 交響曲第7番 ニ短調 Op.70
今回のチラシ、プログラム、チケット。ピアノのモチーフで、素敵なデザインですね↓
昨年の、フランツ・リスト国際ピアノコンクールにて第一位、併せて6つの特別賞を受賞。コンクール史上、アジア人男性として初の優勝を果たされた、阪田知樹氏をピアノのソリストに迎えた当演奏会。大好きなリストのコンクールで優勝、そして大好きな鈴木優人氏指揮での共演という事で、いつも以上に期待を持って迎えたこの日の演奏会。
阪田氏の演奏に初めて接したのは6年前。彼が高校生の時に、トッパンホールにて、ピエール=ロラン・エマール氏のワークショップに出演され、バッハの平均律を弾いて、エマールに高度な指導を受けるという非常に興味深い場面に遭遇しておりましたが、去年以降、彼がリスト・コンクールに優勝してからは、今回初めて演奏を聴く機会に恵まれました。
九大フィル演奏会なので全席自由。しかも開演30分前に、鈴木氏と阪田氏によるプレ・トークが行われることになった為、開場時間より早めに行って、入場の列に並ぶこと約20分。並んだ甲斐がありました!この日は一部、立ち見も出るほどの超満員。私は希望のピアノの鍵盤も見える位置で聴く事ができました。
私がピアノ・ファンである事、加えて、あまりにも素晴らしい阪田氏の演奏に感動したがゆえに、阪田氏のピアノ主体な感想になってしまうことをご容赦下さい。
まず、二人のプレ・トーク。鈴木氏は何だか見覚えあるようなカジュアルなTシャツ姿で登場。去年のラ・フォル・ジュルネで「火の鳥」を指揮された時のコスチュームでは?!
正装で登場された阪田氏とは、同じ作曲の師匠に師事されたという事や(芸大時代でしょうか?)、阪田氏が普段自宅にいる時は、毎日5~6時間は練習されるという事や、ラフマニノフのピアノ協奏曲の、目まぐるしい調性の変化の事など、今回のプログラムについての大変興味深いお話がなされました。このようなトークはとても嬉しいです!ありがとうございます。
さて楽しげに始まったロッシーニの「泥棒かささぎ」序曲につづき、ピアノが真ん中に運ばれます。今回はいつも九響定期などの時に活躍されているステージ・マネージャー的な方(素晴らしくてきぱきしたステージセッティングをされる方)も登場されて、非常にスムーズなセッティングがなされておりました。感謝。
静かで美しいピアノの和音で始まった、ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番。一瞬にしてその演奏に弾き込まれました。阪田氏のタッチから生まれるその透明感あふれるどこまでも美しい清廉な音、豊かな表現、その純粋な音に感動せずにはいられませんでした!鈴木氏率いるオケの演奏ものびやかで、一瞬たりとも聴き逃せない名演でありました!
阪田氏はこのオケの高学年の方々と同い歳という事です。演奏も完成されていながら、エマールがよく言っていた今生まれたばかりの音楽のように新鮮なアプローチで、この名曲を披露してくれました。
そして期待していた通りに、アンコールには、フランツ・リストを!こんなになめらかで 繊細で 美しい「ラ・カンパネラ」を、生では聴いたことがありません!全てが驚きと感動の嵐でした。今後大注目のピアニスト筆頭です!!彼の弾く色々なリストの曲を聴いてみたいです。素晴らしい演奏をありがとうございました!
後半のドヴォルザーク第7番は、私は初めて聴いたように思いますが、鈴木氏の指揮と九大フィルの非常に集中された熱い演奏にまた感動です。
こんな平和な気持ちで幸せな演奏会が聴けることは、本当に素敵な宝物です。来年は定期演奏会第200回となる記念に、東京公演でサントリーホールでも演奏会が開かれるそうです。指揮はもちろん鈴木優人氏!九大フィルの伝統とさらなる発展を心よりお祈りいたします☆
阪田氏はラフマニノフの2番、3番、それからリストのピアノ協奏曲を近いうちに演奏されるそうです。九響も彼をゲストに招いてくれないかな。
そしてまた鈴木氏も、明日からの調布音楽祭から始まり非常にお忙しくご活躍されます。秋の北九州国際音楽祭も楽しみにしています!