7月15日(月・祝)14:00~ アクロス福岡シンフォニーホールにて。
ワーグナー:歌劇「リエンツィ」序曲
マーラー :「子供の不思議な角笛」より
歩哨の夜の歌
この世の営み
魚に説教するパドヴァの聖アントニウス
ラインの伝説
トランペットが美しく響き渡るところ
源光
ブラームス:交響曲第1番
☆前半アンコール:武満徹「小さな空」
後半アンコール:マーラー:交響曲第5番 第四楽章
指揮・おはなし:鈴木優人
バス独唱:ドミニク・ヴェルナー
博多山笠が終わったばかりのこの日、熱い演奏が繰り広げられたアクロスのホール。
今回の演奏会の曲目を知った時、すごく楽しみだと思っておりましたが、思った以上の感動と新たな発見が得られた演奏会になりました。
各曲ごとに、鈴木氏がその曲についてのお話を分かりやすく興味深く話してくれました。その曲ごとの聴きどころや楽器のこと、そして曲が作られたいきさつなど。
そしてプログラムの曲目解説も合わせ読み、私はリエンツィって、ダビデ(旧約聖書のあのダビデ)にちょっと似てるところがある人物なんだなぁと思いました。半音階を駆使したワーグナーらしい音楽で、また勇ましい感じが今日のこの日にふさわしい!
それから、バスのヴェルナー氏も登場され、マーラーの曲へ。このマーラーは私は初めて聴く曲でありましたが、今回演奏された6曲、とても心を打たれました。特に5曲目の「トランペットが美しく響き渡るところ」は、今年3月末に行われた
鈴木氏のピアノ・コンサートで、彼のピアノ伴奏でヴェルナー氏が歌ってくれた時、間近に聴けてとても感動したものでしたが、今回はオーケストラの演奏で、ホールに美しく繊細な歌唱で聴かせて下さいました。
そして最後の「原光」はもう、何と感動的な素晴らしい曲でしょうか!本当に感慨深く、静かで素晴らしい演奏と歌声が、ずーんと心に入ってきました。対訳にもあるように、「人は大いなる悩みの中に生きている!~不滅の生、喜びで満たされた生にたどり着くまで!」と歌われる曲。苦しみの中にあっても、最後は希望につなげていくという、この歌詞を読んであの何とも切なくも美しい音楽に、心酔してしまいました。
アンコールには、これも先のピアノコンサートの時に歌ってくれた武満徹の「小さな空」を日本語で。あの時、美しいピアノで伴奏してくれた鈴木氏が、今回はスペシャル・アレンジのオケ伴奏を指揮してくれて、しっとりとしたヴェルナー氏の清らかで澄み切った歌声に、目頭が熱くなりました。
それから最後のブラームス、OBフィルの方々の演奏が力強く、また鈴木氏の指揮が素晴らしく、信頼関係のしっかりと築かれたアンサンブルを聴くことが出来て、感動!
そして最後のアンコールには、鈴木氏が、これまで3年続いた当オケでの指揮は今年でいったん一区切りである(もしかしたら最後かも?)との事で、私も一抹の寂しさを感じたのですが、「最後はマーラーのこの曲で幸せに終わります」と言われ、あの美しい交響曲第5番の第四楽章アダージェットを聴かせて下さいました。
私はこの曲は昔から大好きで、CDでも演奏会でも何度も何度も聴いていますが、この日ばかりは何か特別なものを感じました。これは私の勝手な妄想かも?しれませんが、弦のビブラートや音の揺れが、楽団員さんたちの涙のように感じて。。鈴木氏との最後になるかもしれないこの演奏会、私たちも寂しいですが、何よりも楽団員さんたちが寂しく思うのではないかと。
この演奏、鈴木氏の指揮に合わせ、弦楽器の皆さんはもちろん、演奏はしない後ろにおられる管楽器と打楽器の方々も、指揮に集中され、心を込めて皆で演奏しているように思いました。
この演奏で私も涙が。。本当に指揮者とオケの方々の強い絆を感じた特別な時間でした。
そして私は、今回の演奏会ではマーラーがすごく好きだと思えた演奏会でもありました。まだまだ聴いていない曲もたくさんありますが、マーラーをもっと聴いてみたいと思いました。
鈴木優人さん、福岡OBフィルの皆さん、音楽への情熱が強く感じられる素晴らしい熱い演奏を、どうもありがとうございました!!