飯守泰次郎指揮/九響 ワーグナー「ニーベルングの指輪」オーケストラル・アドヴェンチャー |
カテゴリ
全体 2009 ドイツ音楽の旅 2011 パリ&ミュンヘンの旅 2013秋 パリ 仲間との旅 2016春 パリ一人旅 2018 初夏 パリ 友人との旅 ドイツの思い出写真 ピアノ、音楽 コンサート Digital Concert Hall Aimard の言葉 Aimard ワークショップ 鈴木優人 Aimard 今後の演奏会やCD Franz Liszt 伝記 フランス語 友人たちと 現代音楽 バレエ、ダンス 美術 オペラ 映画 能楽、狂言 クラシカ・ジャパン 教会 church 最近見た風景 気になる公演 ブログ オルガン・レクチャー オラトリオ、合唱 未分類 最新のコメント
外部リンク
タグ
観光
ドイツ
エマール
九響
フランス
バッハ
ドライヴ
ベルリンフィル
発表会
バレエ
ブーレーズ
アンスティチュ・フランセ
リスト
オペラ
藤倉大
現代音楽
ワーグナー
ピアノ
ピアノ調律
美術館
Bookmark
以前の記事
2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 more... 検索
記事ランキング
画像一覧
|
2018年 02月 10日
2月9日(金)19:00~ アクロス福岡シンフォニーホールにて
九州交響楽団 第365回 定期演奏会 指揮:飯守 泰次郎 ヴァイオリン:松山 冴花 モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第3番 ワーグナー=フリーヘル編 楽劇「ニーベルングの指輪」オーケストラル・アドヴェンチャー 前回、12月の定期は行けなくてとても残念だったのですが(春の祭典、聴きたかった!)、今回が今シーズン最後の定期演奏会になりました。 原曲は、4日間(総時間約15時間)かけて演奏される、ワーグナーの楽劇を、聴きどころを繋げて管弦楽のみで演奏できるように1991年にヘンク・デ・フリーデルというオランダ放送フィルの打楽器奏者だった人が編作したというもの。 こういう版があるのは知りませんでしたが、あの大作を約1時間強にまとめ、4部作の流れに沿った14部分からなり、休みなく演奏されるもの。 前奏曲 ラインの黄金 ニーベルハイム ヴァルハラ ワルキューレの騎行 魔の炎の音楽 森のささやき ジークフリートの英雄的行為 ブリュンヒルデの目覚め ジークフリートとブリュンヒルデ ジークフリートのラインへの旅 ジークフリートの死 葬送行進曲 ブリュンヒルデの自己犠牲 この、とても濃厚で大編成の音楽を、ノンストップで。指揮者も奏者も大変なエネルギーを要すると思いますが、やっぱりすごいです!ワーグナーの音楽の濃密さ、おもしろさ、感情に迫りくるものを感じました。しかし、聴く側も確かにちょっと疲れたけれど。。 物語の内容はさておき、純粋にその音楽の魅力だけを、たっぷりと味わえた一時間余り、まさに非日常の濃密な音楽の世界に浸ることができました。飯守氏のワーグナーへの情熱、九響の渾身のエネルギーを感じ、圧倒されながら終演を迎えました。 金管、木管、弦、打楽器、全ての楽器がこれほどまでに魅力を炸裂させる音楽、ワーグナー恐るべし! そして、素晴らしい演奏を披露してくれた飯守氏、九響のメンバーに感謝です。今シーズン、本当に楽しませて頂きました。 さて来シーズンも同じ席での定期会員継続。楽しみなプログラムが目白押しで、まず4月はブルックナー第5番。 ▲
by klavier1022
| 2018-02-10 20:13
| コンサート
|
Comments(0)
2017年 07月 13日
7月11日(火) 19:00~ アクロス福岡シンフォニーホールにて
九州交響楽団 第360回 定期演奏会 指揮:セバスティアン・ヴァイグレ コンサートマスター:扇谷泰朋 ワーグナー/歌劇「タンホイザー」序曲~ヴェーヌスベルクの音楽 ワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ」 第1幕への前奏曲 ワーグナー/歌劇「リエンツィ」序曲 ブラームス/交響曲第4番 ホ短調 作品98 ![]() バイロイトでも活躍されたというベルリン生まれのヴァイグレ氏の事は今回初めて知りました。最初のタンホイザー序曲の出だしは緊張感がありましたが、やっぱりこの音楽、本当に何とも言えない魅力にあふれた音楽だなと、あらためて聴きながら心酔していきました。 二曲目のトリスタン第一幕への前奏曲は、私は今回の演目では一番好きでしたが、演奏も素晴らしく、最初から最後まで弦楽器の魅力、管楽器の魅力、打楽器の魅力が最高に引き出された音楽に感動しながら、心から気持ち良く浸ることが出来ました。トリスタンは以前楽劇で観劇しましたが、こうしてオケの姿をステージ上で観るのも、とても良いなぁと思いました。やっぱり曲が良すぎます! そして三曲目のリエンツィ。オペラとしてはこれも悲劇でありますが、大変活気あふれた序曲は聴いていても高揚感でいっぱいに。 この日のワーグナー、とても良かったです!まだまだもっと、ずっとワーグナーの音楽を聴いていたいと思いながら休憩に。。。 さて後半のブラームス。申し訳ないけれど、私はどうもブラームスの交響曲とは相性が悪いようで、、、前半のワーグナーがあまりにも好きだったために、その後に苦手なブラームスを聴かなければならないのが私にとってはちょっと不運でした。 終演後はとても盛り上がって大拍手と声援に包まれましたし、演奏自体はとても良かったと思われます。しかしながら、私の場合、ブラームスのこの曲自体がどうしても苦手なのです。。(もちろん個人的主観による感想ですし、こんな感想を持ったのは会場で多分私一人でしょう) ブラームスさん、ごめんなさい!だけど、ブラームスのピアノ曲(間奏曲)や、ピアノ協奏曲は大好きなのですよ!とこれを書いている今現在、クラシカジャパンで放送中の、山田和樹指揮、トゥールーズ・キャピトル国立管のブラームス ピアノ協奏曲第一番を聴きながら、やっぱり良いなぁと思って書いております。しかもピアニスト(アダム・ラルーム)のアンコール曲がこれまたブラームスの間奏曲第一番。しっとりとした何と素敵な曲だろう!と、この曲は大好きなのです。(すみません) という事で、この日の九響定期、私にとっては大きな対比となった前半と後半のプログラムでした☆。。
▲
by klavier1022
| 2017-07-13 20:09
| コンサート
|
Comments(0)
2017年 07月 02日
気づけば今年も半分が終わって、7月に。
昨日、7月1日の日経新聞・朝刊に、今年のバイエルン歌劇場の来日公演に伴う「タンホイザー」に関する記事、主役のクラウス・フロリアン・フォークト氏のインタビュー記事が。 結局この9月の来日公演に私は行けないけれど、今年5月の初演で賛否が割れたというこの演出にはちょっと興味もあります。また記事の中で、フォークト氏自身がタンホイザーと似ているかもしれないという事や、将来はトリスタンやジークフリートなどの役も。。というお話が。いずれ何らかの作品でまた彼の歌声を生で聴く機会があればなぁと思います。 それから今日、7月2日の日経新聞 The STYLE には、能楽の観世流26世宗家 観世清和氏の記事が。 氏は2016年から日本ワーグナー協会で評議員を務めていらっしゃるそうですが、ワーグナーの音楽に出会ったのは中学生の時だそうです。 氏曰く「ワーグナーの音楽が即、能に役立つわけではありませんが、能楽師として 普遍性のある音楽や力強い金管楽器の響きなどは 能に通じるものがあると感じています」と。 私も今年は能楽の観劇デビューをしようと思っている事もあり、とても興味深い記事でした。数ヶ月ほど前から、日経の日曜版(芸術面の記事が充実した)が面白くなって良かったと思います。 ▲
by klavier1022
| 2017-07-02 17:24
| ブログ
|
Comments(0)
2013年 11月 21日
11月20日(水)17:00~ アクロス福岡シンフォニーホールにて。
指揮:チョン・ミョンフン 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 ソリスト: トリスタン/アンドレアス・シャーガー(テノール) ※ジョン・マック・マスターより変更 マルケ王/ミハイル・ペトレンコ(バス) イゾルデ/イルムガルト・フィルスマイアー(ソプラノ) クルヴェナール/クリストファー・モールトマン(バリトン) メーロト/大槻孝志(テノール) ブランゲーネ/エカテリーナ・グバノヴァ(ソプラノ) 牧人・若い水夫/望月哲也(テノール) 舵手/成田博之(バリトン) 合唱:チョン・ミョンフンプロジェクト 特別合唱団 曲 目 ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」 コンサートスタイル・オペラ 上演時間 約5時間(休憩2回含)全3幕 日本語字幕付き 長時間になるのでなるべく楽で、字幕も見やすい席をと思い、今回は2階の後方席にて。 まず大好きな前奏曲から音楽に聴き入り、物語に入っていきました。 そして最初の声、若い水夫を歌う望月氏の声が舞台袖から。いい声だなぁと思いました。彼の出番はそんなに多くないけれど、歌う時はとても表現豊かに歌ってくれて、印象に残りました。望月氏の歌はもっと聴いてみたい。 ミョンフン氏の指揮は、ご本人は控え目というかクールな感じでしたが、この厚みのある音楽をしっかりと導き、オケや歌手を盛り立てて、音楽そのものの魅力を引き出すような印象でした。 東京フィルはこの作品も、新国立劇場のピット等でもよく演奏されていると思いますし、長時間集中力を保っての演奏、さすがです。この音楽には本当に惹きつけられます。 トリスタンとイゾルデ、二人のやり取りも良い感じで、歌手の方々もみな、それぞれ素晴らしい声を聴かせてくれました。そしてやはり、ワーグナー生誕200年という事で、このワーグナーとは普段、縁のない福岡の地で、この作品が聴けたことが嬉しかったです。カーテンコールも含め、21時40分には終演。 ただ会場は8割も入っていなかったような。。ワーグナー作品が福岡に浸透するには時間がかかりそうですが、今回この作品を取り上げてくれた事に感謝です。 ▲
by klavier1022
| 2013-11-21 17:39
| コンサート
|
Comments(2)
2013年 06月 29日
6月27日(木)18:45~ アクロス福岡シンフォニーホールにて。
九州交響楽団 第325回定期演奏会 ワーグナー/ジークフリート牧歌 ワーグナー/楽劇「神々の黄昏」より “ジークフリートのラインへの旅” “ジークフリートの死と葬送音楽” “ブリュンヒルデの自己犠牲と終曲” ワーグナー/楽劇「ワルキューレ」第1幕(演奏会形式) 指 揮 :大野和士 ソプラノ:並川寿美 (ブリュンヒルデ、ジークリンデ) テノール:福井 敬 (ジークムント) バ ス :松位 浩 (フンディング) 濃密なワーグナーの音楽で、特別ぜいたくな演奏会でした! 今年がワーグナー生誕200年記念という事で、ワーグナー・プログラムには滅多にお目にかかれない福岡でも、演奏会形式でいくつかの演奏が聴けるのが嬉しいところです。 私は「ニーベルングの指環」のオペラそのものを観たことが無かったのですが、ちょうど5月にクラシカ・ジャパンで、1980年バイロイト音楽祭(P.ブーレーズ指揮/P.シェロー演出・・どうしてもこのプロダクションのを観たかった)のリング4部作とメイキング映像が放送されたので、ようやく全編観ることが出来ました。何しろ長いので(約15時間)なかなか全作観るのが大変でしたが、この演奏会に間に合って良かったです。 以前から何度か文章で、4作それぞれのストーリーを読んではいたものの、沢山の登場人物と複雑な相関関係やストーリーがなかなか頭に入らず、ピンこない感じでした。ですが、「ラインの黄金」から「神々の黄昏」までひとつひとつの作品を日本語字幕付きの映像でじっくりと観ることにより、私もようやく登場人物とストーリーが頭に入ってきました。まだ映像で一通り観聴きしただけで、台本の深い意図や演出の事などまでは分かりませんが、この壮大な物語、なんだかすごいな!と思いました。そしてやっぱり音楽そのものが魅力的です。 さて、開演前にロビーにて、プレ・トークがあり、普通のホルンと、ワーグナー・チューバの見た目や音色の違いを、音階を吹いて示してくれました。ワーグナー・チューバはより豊かで深い音がしました。あとは簡単にワルキューレ第一幕のストーリーの説明も。双子のきょうだいで愛し合うという発想、それもワーグナーの中のファンタジックな世界観なのか? まずプログラムの1曲目「ジークフリート牧歌」。ワーグナーが56歳にしてコジマとの間に生まれた長男、ジークフリート。コジマの誕生日であるクリスマスの朝、密かに作曲したこの曲を演奏し、目覚めたコジマを祝福したワーグナー。この曲の初演のシーンは、映画「ルードヴィヒ」で出てきましたが、そのシーンを思い出しながら、この優しく穏やかな美しい曲、しばし平安な音楽に浸りました。 そして「神々の黄昏」より 3曲。リング4作目最後の作品なので、先に聴くのはストーリー的にはちょっとあれですが、演奏会の便宜上、純粋に音楽そのものに浸りました。日本語字幕も見やすくて良かったです。 九響でワーグナーを聴くのは、私は多分初めてですが、大野氏の指揮のもと、大編成のオケが何だかいつもと違った雰囲気で、重厚な音楽を奏でてくれました。 途中でブリュンヒルデを歌う並川さんが登場され、その素晴らしい歌声に会場が惹きこまれていきました。彼女の歌は、昨年の大晦日に、NHKのクラシック番組に出られていた時にテレビで聴いた事がありましたが、それで今回楽しみにしていて、期待以上に素晴らしくて感嘆致しました。 ブリュンヒルデの自己犠牲と終曲。感動的なこの曲に浸り、やっぱりワーグナーの音楽って好きだなぁと思いました。 後半の「ワルキューレ」第一幕の演奏会形式。(私は映像で観た、ペーター・ホフマン演じるジークムントが印象的でした。)今回のジークムントを歌った福井さん、やっぱり輝かしい歌声が心地良く響き、さすがの歌唱。 また今回の歌手の方では、フンディングを歌う松位さんだけは、びわ湖ホール「トリスタンとイゾルデ」でのマルケ王を、実演で聴いた事がありましたが、とても素晴らしかった記憶があり、こちらもまた楽しみでした。やはり今回もまた、力強く艶のあるよく通る声で歌ってくれました。 そしてまた、ジークリンデを歌う並川さんも、表現力豊かな歌唱で素敵で、ジークムントとジークリンデのやり取りの感じも良かったです。 ワーグナーがたっぷり聴けるなんて、福岡ではとても貴重な演奏会を堪能することが出来、良かった!もっとこの作品をじっくりと聴きこんで、いつかまたこんなワーグナーの演奏会を聴いてみたいです。 終演後は、何度も何度もカーテン・コールが続き、歓声と拍手でいつにない盛り上がりでありました。大野氏が九響に客演されるのは二回目のようですが、また来て頂きたいです。 九響HPより、リハーサル風景@末永文化センター ワーグナーは、福岡でも今年の秋に、東京フィル(チョン・ミョンフン指揮)の「トリスタンとイゾルデ」の演奏会形式がありますので、そちらも楽しみです! ▲
by klavier1022
| 2013-06-29 18:05
| コンサート
|
Comments(2)
2012年 06月 18日
6月16日(土)14:00~ オペラパレスにて。
【台本・作曲】リヒャルト・ワーグナー 【指 揮】ペーター・シュナイダー 【演 出】マティアス・フォン・シュテークマン 【美術・衣裳】ロザリエ 【照 明】グイド・ペツォルト 【ハインリヒ国王】ギュンター・グロイスベック 【ローエングリン】クラウス・フロリアン・フォークト 【エルザ・フォン・ブラバント】リカルダ・メルベート 【フリードリヒ・フォン・テルラムント】ゲルト・グロホフスキー 【オルトルート】スサネ・レースマーク 【王の伝令】萩原 潤 【4人のブラバントの貴族】大槻孝志/羽山晃生/小林由樹/長谷川 顯 【合 唱】新国立劇場合唱団 【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団 (ノイシュヴァンシュタイン城の中に描かれているローエングリン登場の情景/お城のパンフレットの写真より) 去年から楽しみにしていた『ローエングリン』。私にとっては初の新国立劇場での観劇となりました。席は一階14列の真ん中。舞台全体が綺麗に見渡せ、音の響きもとても良いと思える位置でした。感謝! 去年映像で初めてこのオペラを観て、このワーグナーの音楽と台本に非常に感銘を受けていました。またさらに、今公演において主役を演じるフォークトさんに、大きな期待感を持ってのぞみました。オペラ初心者の私なりの感想です。 フォークトさん演じる白鳥の騎士は、天から舞い降りてきた天のみ使いのように登場し、実際に天の御使いがいたら、こんな声と御姿をしているのではないだろうかと思えるような人でした。まさにローエングリンそのもののような高貴な御姿と、この世のものとは思えぬような輝かしく美しい声でありました。やはり生で聴くと素晴らしかったです。 あの透き通るような、真っ直ぐに伸びる声は、ぶれない力強さもあって、どこまでも高潔なローエングリンを象徴しているかのようでした。特に第3幕の『グラール語り』では、心が震えました。 この作品で、ワーグナーが描いたもの。ドイツの神話や伝説などにインスピレーションを得たようでありますが、プログラムに書かれてあるように「人間の本質」を描いた悲劇。 確証のないものを『ただ信じる』という事が、いかに難しい事か。どうしてあれ程までに献身的にエルザに尽くしてくれ、彼女にとって唯一の救世主ともいえる騎士の言葉を信じることが出来なかったのか。そして、最後にローエングリンの名乗りと告白を聞いた時のエルザの嘆きは、どれほど大きなものであったか。 しかし、これが多くの人間の持っている弱さであり、性ともいえると思います。そしてその弱さゆえに悲劇が訪れる。理想通りには事は運ばない、人間心理を突いたワーグナーの台本であると思いました。 一つ気になる箇所(ローエングリンのセリフの中で)が。もしも、エルザか彼を信じて一緒になっていたとしても、一年後にはローエングリンは元の世界へ帰ってしまうという事なのですね?それでもたった一年であっても、エルザと共に幸せな時間を過ごし、役目を終えて元の世界へ戻ることが騎士の使命だったのでしょうか?まぁでもそれは無用な勘ぐりかも。 公演プログラムには、このオペラの初演を指揮したフランツ・リストと、リストとワーグナーの関係が、5ページにも渡って書かれていました。リスト・ファンの私にも非常に興味深いものでしたので、一部引用してみます。 当時、政治的な理由でドレスデンを追われ、このオペラの上演が水の泡となり、亡命者としての生活が始まったワーグナーに対し、リストは献身的に物心両面でワーグナーを支援していました。二人は頻繁に手紙で交流を続けました。 ワーグナーは、どうしてもこの作品が上演されるのを見たい!という強い気持ちがあり、「それを頼むことの出来る人物は唯一君だけなのだ」と、リストに依頼をし、リストもそれに応えます。 その時、直接会うことが出来ない、ワーグナーとリストでしたが、上演について何度も手紙でやり取りがなされました。例えばリストは、スコアの何箇所かについてメトロノームによるテンポの指定を要求しましたが、ワーグナーはそれは全く不用とし、「なぜなら私は全ての点で全面的に君の芸術的共感を信頼している」と綴っています。 そして、リストが決めた初演の日、1850年8月28日(生誕101年であるゲーテの誕生日)、当時リストが宮廷楽長を務めていたワイマールにて行われました。リスト38歳の時です。ワーグナーはその日、上演に立ち会うことが出来ませんでしたが、ルツェルンの宿屋で、そのオペラの上演開始予定時刻から終演予定時刻まで、時計を追いながら過ごしていたそうです。 リストはこの作品について、「君のローエングリンは最初から最後まで崇高な作品だ。幾多の箇所で心からの涙を流してしまった」と、感激の思いをワーグナーに手紙で伝えています。私は劇場でオペラを鑑賞しながら、リストがどんな風に指揮していたのかなと、しばし思いをめぐらせました。リストの伝記には、このオペラの初演に向けて、46回ものリハーサルを重ねたと書かれてありました。 ワーグナーとリストのお互いの音楽性と信頼関係が、作品上演をもたらしたのですね。 後に、この『ローエングリン』を観賞し、大きな感銘を受け、ワーグナー崇拝者になったルードヴィヒⅡ世は、即位後にワーグナーの最大のパトロンになり、バイロイト祝祭劇場の建設のためにも貢献することになりました。当時、国に危機をもたらすほどに、ワーグナーへの支援とお城の建設に莫大な費用を使ったルードヴィヒⅡ世ですが、現在、バイロイト祝祭劇場も、毎年音楽祭で賑わい、世界中から観光客が訪れるノイシュヴァンシュタイン城は、年々バイエルン州財務局の金庫を豊かに潤しているという事で、歴史を振り返ると面白いなと思いました。 バイロイトのヴァーンフリート荘で友人と寛ぐワーグナー(1880年頃)。ピアノに向かうリスト(69才頃)、そして左側にはコジマも。 今回の新国立劇場の舞台は、綺麗だと思いました。ローエングリンなどの衣裳も好きでした。私には細かい演出の意図までは分かりませんが、やっぱりワーグナーの音楽は素晴らしく、ローエングリンの世界に浸る幸せな時間を過ごせました。 今度は、フォークトさんのパルジファルも聴いてみたい! ▲
by klavier1022
| 2012-06-18 21:56
| オペラ
|
Comments(2)
2011年 05月 06日
以前、クラシカ・ジャパンの放送で録画しておいた、2009年 ミュンヘン・オペラ・フェスティバルでの、ワーグナーの歌劇「ローエングリン」を観ました。 〈演出〉リチャード・ジョーンズ 〈出演〉 ローエングリン : ヨナス・カウフマン(テノール) エルザ : アニヤ・ハルテロス(ソプラノ) テルラムント : ヴォルフガング・コッホ(バリトン) オルトルート : ミヒャエラ・シュスター(メゾ・ソプラノ) このオペラ、第一幕前奏曲、第三幕前奏曲しか、CDでは聴いた事がありませんでしたが、映像ではありますが、全幕を初めて鑑賞しました。特に第一幕前奏曲がすごく好きで、この美しい曲での始まりは、心が高鳴ります。 演出は、現代に置き換えたもので、ローエングリンとエルザが一緒に住む家を設計し、建設していくという設定で進んでいきますが、詳しい事は、初めて観たので私にはよく分かりません。ですが、このオペラには、すごく感動しました!音楽の魅力、そしてワーグナー自身が書いたという台本にも、とても感銘を受けました。それから歌手の方々の演技力、表現力、説得力も素晴らしい。 オルトルート役のミヒャエラ・シュスターさん、迫力があって、この役になりきってました。 エルザを演じたアニヤ・ハルテロスさん、清潔感があって可憐でした。 そして、ローエングリンのヨナス・カウフマンさん。精悍で演技力もあって、声もとても良く、やはり歌手の魅力は大きいです。カウフマン氏、いつかトリスタンもやって欲しいと思います。 エルザの事を客観的に見ると、なぜ、彼を信じることが出来なかったのか。なぜ彼に疑いを持ってしまったのか。ただ信じていれば幸せになれたのに。。。などと思ってしまいますが、私ももしエルザの立場になれば、きっと同じように疑問を持って、不安になって、聞いてはならない質問をしてしまうでしょう。しかし、高潔なローエングリンには、もうただただ感銘を受けてしまいました。 ワーグナーはとても高い理想を持っていて、崇高な世界観を目指していたのだろうと感じます。このオペラは、私が今までに観た数少ないオペラの中では、一番好きだと思いました。バスティーユで生で観た「フランチェスカ・ダ・リミニ」よりも、今回映像で観た「ローエングリン」の方が、内容的にはずっと心に残るものがあります。もちろん、映像なので日本語字幕で観れたというのも大きいですが、ワーグナーの台本と音楽そのものの魅力がやはり、好きなのだと思えます。 この作品は、2月にノイシュヴァンシュタイン城へ行く前に観ておけば良かったな・・・とちょっと後悔してしまいました。長いので(約3時間40分)、たっぷりと時間がある時に観ようと延び延びになってしまいましたが、ローエングリンを観てからワーグナーに心酔していったルードヴィヒⅡ世に、思いをめぐらせました。 このオペラ、今年の秋に来日公演がありますが(上記記載の歌手の方は、カウフマン氏以外は、別の歌手の方です)、残念ながらちょっと行けそうもありません。ですが、ローエングリンが大好きになり、映像でも観れて良かったなと思います。 http://www.nbs.or.jp/stages/opera2011/bayern01.html ※この記事を書いた時に、カウフマン以外の歌手の方のお名前を、私は間違って掲載しておりました。5月10日午後に訂正して、記事を編集アップさせて頂きました。この記事を読まれて??と思った方も多くいらしたと思います。どうもすみませんでした!!
後日追記(9月) 主役のヨナス・カウフマン氏は、健康上の理由のために、残念ながら当公演でも来日出来なくなりました。ローエングリンの代役は、ヨハン・ボータ氏が来て下さる事になりました。 http://www.nbs.or.jp/blog/1109_bayerishe/contents/2011/08/post-8.html ▲
by klavier1022
| 2011-05-06 22:04
| オペラ
|
Comments(4)
2010年 10月 19日
台本・作曲 : リヒャルト・ワーグナー 指揮 : 沼尻竜典 演出 : ミヒャエル・ハイニケ 舞台装置 : ラインハルト・ツィンマーマン 舞台装置・衣裳・小道具協力 : ケムニッツ市立ケムニッツ歌劇場 トリスタン : ジョン・チャールズ・ピアース イゾルデ : 小山由美 マルケ王 : 松位 浩 クルヴェナール : 石野繁生 ブランゲーネ : 加納悦子 メロート : 迎 肇聡 牧童 : 清水徹太郎 舵手 : 松森 治 若い水夫の声 : 二塚直紀 合唱 : びわ湖ホール声楽アンサンブル、他 管弦楽 : 大阪センチュリー交響楽団 この秋、一番楽しみにしていたワーグナーのオペラを観に、早起きして一路びわ湖へ。 当初は、年末の新国で開催される同演目へ行きたいと思っていたのが難しくなり、あきらめてちょっとがっかりしていたところ、全く別のプロダクションですが、びわ湖でもトリスタンがあるというのを知り、行く事になりました。私にとっては、日本国内で初の、オペラ観劇となりました。 新幹線を降り、JR京都から快速2駅で大津へ。駅から出ているバスに乗り、だんだん見えてくるびわ湖の風景にワクワクしながら、びわ湖ホールへ到着。 とても広い玄関口で、階段を上がっていくと、後ろには素晴らしいびわ湖の景色が広がっていました。 大きくて、海みたいなみずうみ。こんなに素晴らしいロケーションに建っている素敵なホール、ここに来ただけでも感動。社会人になりたての頃(随分前ですね)、会社の研修旅行で一度、びわ湖には来た事がありますが、今回の方が感動が大きいです。 さて、私がもともとワーグナーの音楽に惹かれるきっかけとなったのは、「第一幕への前奏曲とイゾルデの愛の死」を聴いてからなのですが、この楽劇は、登場人物は比較的少なくて大方のストーリーが分かりやすく、内容にもすぐに興味を持ちました。CD(ベーム)や映像(2007年ミラノ・スカラ座、シェロー演出)でも予習をしまして、予習しながら、ワーグナー歌手って、本当にすごいな!と思いました。 私は二階の一列目(二階と言っても、一階とは一つの通路をはさんですぐに続いていてほとんど一階の後方という感じです)で聴きましたが、イゾルデの小山さんの歌声は、最初から最後まで、よーく響き渡り、素晴らしかったと思います。意外にもトリスタン役のピアースさんの声量は全体を通して少し小さく感じ、第二幕の愛の二重唱でも、イゾルデの声の方が、私の席までよく響いていました。 それからマルケ王の松位さんと、クルヴェナールの石野さんの声も素晴らしく、トリスタンよりも声量はあったように思いました。ですが、トリスタン役もあれだけの長丁場、ワーグナーの難しい音楽を歌い通すのは大変なのだろうと思いますし、声質はとても良かったと思います。 オペラ初心者、素人の私の印象なので、詳しい事は分かりませんが、沼尻氏の指揮、オケの演奏も、やはり生で聴く感動は大きかったです。また私の席からは、歌手の方々の細かい表情まではよく見えませんでしたが、表現はよく伝わってきましたし、みながこの作品を愛していて、情熱をこめて作り上げたという事が、本当によくわかりました。そして私はやはり、このワーグナーの音楽、大好きです。 最後は、カーテンコールが何度も何度も続き、指揮者や楽団の方々もステージ上がって来られ、大きな拍手とブラボーが贈られました。イゾルデの小山さんには一際大きな拍手が贈られていたように思います。最後の挨拶が終わり、会場からロビーに出たのが、ちょうど19時でした。 幕間の休憩時間の各30分も、素晴らしいびわ湖の景色を見ながら、コーヒーを飲んだり、とても充実した無料プログラムを読んだりしていたら、ちっとも長く感じなくて、その上、4時間程の上演さえ、あっという間に感じました。会場横のカフェテラスは外に出ることも出来て、その景色もとても楽しむことが出来、お天気もちょうどよく、素晴らしい思い出に残る一日となりました。 今回の上演にかかわった皆様、素晴らしい舞台を、音楽を、本当にどうもありがとうございました! ▲
by klavier1022
| 2010-10-19 15:20
| オペラ
|
Comments(2)
2010年 10月 18日
10月15日(金)19:00~ アクロス福岡シンフォニーホールにて。 オール・ワーグナー・プログラム 序曲「ファウスト」 私は、今回のワーグナーの演目の実演を聴くのも初めてで、上岡氏の指揮も今回の楽団も初めて聴きましたので、拙い感想しか書けませんが、ワーグナーの音楽そのものにとても興味が沸いてきた昨今、楽しみに行って参りました。私にとっては、楽しい演奏会でした。 この演奏会に対するセミナーが上岡氏の解説により、以前アクロスで開かれたにもかかわらず、私はまともに曲の予習も出来なくて、手持ちのCDの中では、「ジークフリート牧歌」(しかも、指揮はグレン・グールド)しか無く、多くの曲は、初めて聴きましたが、例えば「森のささやき」などは、本当に、朝の静かな森の情景を感じさせる音楽だと思いましたし、他の曲も、やはりワーグナーの音楽はとても魅力的だ!と感じました。と言っても、ワーグナー初心者の私にはまだその音楽の入り口にさしかかったところですので、これから少しずつ、学んでいきたいと思います。 ただ、福岡には専用の歌劇場が無い為に、本格的なオペラを観るには、関東か関西まで遠征しなければなりません。でもそうたびたびは行く事が出来ないので、興味のある演目にしぼって、オペラにも行ってみたいなと思いました。 ▲
by klavier1022
| 2010-10-18 13:53
| コンサート
|
Comments(4)
2010年 10月 16日
昨夜は、福岡にて ヴッパータール交響楽団のワーグナー・プログラムの演奏会に行き、今日は早起きして、滋賀県へ。びわ湖ホールでの、楽劇トリスタンとイゾルデを観て来ました。とても素晴らしく、感激でした。感想は明日以降、帰宅して書きますが、今日の感動を少し書き留めておきます。本当に来て良かったです!お天気も、ホールからの景色も素晴らしかった。
本日は、大津市内に宿泊し、明日は京都をのんびり一人観光へ。 ▲
by klavier1022
| 2010-10-16 20:18
| ブログ
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||